「みんなのレシピ」は、自分が担当する料理に必要な食材を集めて、料理を完成させるゲーム。すでにこのサイトで紹介している「レシピ」のシリーズ作品です。

自分が担当するメニューに必要な食材カードを、順番に引きながら集めていくこのゲーム。「みんなのレシピ」は、これまでの「レシピ」のファンから「こんなメニューを作りたい」と寄せられた声を元に作ったとのこと。システムが変わるわけでもなく、メニュー違いでシリーズ化されるのは人気の証拠。実際、いろんな子どもとやってみると打率(=夢中になって楽しむ率)が異常に高い。箱には「4歳から」となってるけど、10歳くらいでもかなり楽しむ。

正直なところ、大人がやっても考えどころはほとんどないシンプルさ。初めて説明書を読んだとき「…何が面白いんだ?」と思わされたこのゲーム。なのに、やたらとウケるのには驚かされる。この記事では何がこのゲームの魅力なのかを考えてみたい。(作る料理が違うだけでゲームとしては全く同じなので、内容を知りたい方は「レシピ」の記事をご覧ください)。

「料理を作る」というテーマ

いろいろなゲームがある中、「料理を作る」というテーマは意外と珍しい。「おいしい料理を作るために、必要な材料をそろえる」というテーマがまず問答無用で勝利っぽい。

シリーズの「レシピ」「わしょくレシピ」でもカレーライスやすき焼きなどが登場したが、「みんなのレシピ」にはラーメン・エビチリ・からあげと、いかにも子どもに人気がありそうなメニューが揃ってる。(個人的にはチンジャオロースが食い込んでるのが意外)

「料理を作る」というテーマで、することは「食材集め」。テーマとすることが、これ以上ないくらいダイレクトにつながってるわかりやすさも魅力なのだと思う。

いろいろな食材を知れる

食材のイラストは輪郭線がくっきりしたもの。絵のテイストを味わうというよりも、はっきりそれが何かが伝わるタイプ。また、身近な食材だけでなく、オイスターソースなどちょっと変わったのが出てくるのも楽しい。

デザインもわかりやすい。例えば鶏肉なら、鶏肉そのものの絵のほかにニワトリのイラストも添えられている。オイスターソースにはちゃんと牡蠣の絵も。玉ねぎは断面も描かれていて、食材の特徴がよくわかる。このあたりにもビジュアルの魅力がありそう。

料理と食材の結びつきがわかる

メニューカードで目をまず目を引くのは、おいしそうな完成料理の絵。「これからこの料理を作るぞ!」というワクワク感が引き出される。

そして、料理の下には必要な食材がイラストで載っている。自分が目指すべきゴールと、そのために手に入れるものが明確にビジュアルで伝わってくるわかりやすさ。

料理と食材の結びつきという、日常生活にかかわる知識を知れるというのも楽しさにつながっていそう。よく見るとわかるが、コロッケには小麦粉、エビチリには片栗粉、お好み焼には薄力粉と、同じ粉でも細かい違いがあるのも面白い。

くじ引き感覚のカード引き

自分の番にまずすることは、山札からカードを1枚引くというアクション。「欲しいのがくるかな…」というくじ引き感覚のドキドキがシンプルに楽しい。あまり考えどころがない分テンポよく進むので、何度も何度もくじを引けるという体験にもなる。

また、自分の番では、不要な食材を1枚必ず場に出すことになっている。他のプレイヤーに取られる可能性もあるので、「誰かに取られないかな…」という引くときとは逆のドキドキが。自分の番の中で、気持ちが反対に動く振れ幅の大きさも、楽しさの要素にありそうな気がする。

「ほとんど運」という魅力

場に出されたカードをちゃんと見たり、人の動向を見て必要そうな食材を止めたりと、観察・推理という要素は一応あるものの、勝負の行方はほとんど運。

説明書では手に入れた食材は自分の前に裏向きに伏せて出すことになっているが、私がやるときは上の写真のようにオープンでプレイ。視覚情報を多くすることで、観察・推理がしやすくなる。しやすくなった分、思考・記憶の要素が減って、相対的に運の要素がさらに高まる。というわけで、ますます運のゲームになっていく「レシピ」。

ゲームをするとき、勝負に対して真剣な子どもほど、負けたショックが大きくて癇癪を起こすこともある。でも、自分の思考や戦略という「実力」の外に原因があるなら、負けを受け入れやすいかもしれない。オセロで負けて怒ることがあっても、ジャンケンで負けて激怒することはあまりない。

「勝敗の受容」を「思うようにならない場合もある」という要素に絞って体感するには、運の要素が強いゲームはよい経験になりそう。ジャンケンと「レシピ」の違いは、結果がわかるまでの時間の長さ。かけた時間が長い分、負けたときのがっかり感は強くなるかもしれない。

でも、ジャンケンで負けて「今度こそ!」とはあまり思わないだろうけど、レシピで負けたときは「次は勝つ!」と思わされる。負けたときの気持ちにかかる負荷の強さは、それを乗り越えようという意欲の強さにもつながるだろう。

運の要素の強さを逆にとらえれば、「大人にも手加減されずに勝てる」とも言える。これも子どもにとっては、大きな達成感になる経験だろう。


シンプルながら、テーマ・デザイン・ドキドキ感という要素が合わさって、子どもにとって魅力的なゲームとなっている「レシピ」。大人が遊んで楽しい…とは言えないかもしれませんが、「どうして子どもにこんなにウケるんだ?」という理由を考えるのは、ゲーム以上に楽しいことかもしれません。

(おわり)