「ハムスター秘密基地」─ほんわかテーマでルールは簡単…なのにクリアは激ムズの協力型すごろく─
「ハムスター秘密基地」は、冬が来るまでに食べ物を集めるハムスターたちがテーマの全員協力型すごろく。ルールは簡単で雰囲気はあったかいですが、クリアは激ムズという設定が意外です。
1~4人で遊べて、4人プレイ時のセット例はこんな感じ。中央近くのマスにいるハムスターコマと、ボード上部に置かれた食べ物の数が人数によって違ってきます。
スタートマスはリビングルーム。ここにいるハムスターたちを動かして、冬が来る前に食べ物を全て集めるのがゲームの目的です。
自分の番にはまず、サイコロを振ります。そして、目の数だけ自分のハムスターコマを移動させましょう。デザインが凝っているためマスの区別がややしづらいですが、背景の色がマスごとに違うのを目印にするとわかります。ところどころ乗り物のしかけがあって、上の写真の回し車も動きます。
小麦など、食べ物のマスに来たらそれを手に入れます。ただし、一度に1つしか持てないので、いっぺんにたくさん運ぶことはできません。
3種類ある食べ物にはそれぞれ貯蔵庫があるので、そこまで運んでいきましょう。貯蔵庫に着いたら食べ物を置き、再び運びに向かいます。
上の写真の仕掛けマスはトロッコ。コマを乗せて、シャーッと移動させましょう。先ほどの回し車もそうですが、仕掛けマスも普通に1マスカウントで、通常マスとの違いはありません。
つまり、仕掛けはあくまで演出。上の写真のモグラが寝ているところはどのマスともつながっておらず、こちらもあくまでデザイン。厚みのあるボードは2枚重ねになっていて、地下の巣穴っぽく見えるようにできていますが、これも演出。
ハムスターの寝室もありますが、目的を達成するには遠回りでしかなく、来る意味がありません。でも、かわいい。
箱には「4~8歳が対象」と書かれており、対象年齢の上限があるのは珍しい。この作品、ゲーム性とは直接関係のない要素を絵本を見るように楽しむのが味わいどころのようです。
ほんわかデザインの中、こうして食べ物を集めていきますが、冬は容赦なく迫ってきます。スタートプレイヤーの番が回ってきたら、まずボード上部の木から葉っぱを1枚取り除いてハリネズミコマの周りに置きます。ハリネズミは葉っぱを集めてベッドにするからです。
……という設定はほんわかしているものの、ゲーム的に葉っぱの散るペースはかなり厳しい。全ての葉っぱが散るまでに、食べ物を全部貯蔵庫に入れられないとミッション失敗です。
やってみるとわかりますが、大人でやっても成功するのはかなり難しい。相当がんばったつもりでも、間に合わない場合が多い。移動ルートに考えどころはほぼなく、成否にかかわるのはサイコロで出た目。つまり、かなりの運ゲームというわけです。
一応、同じマスにいるハムスターに食べ物を渡せるというルールはありますが、それが有効かはいまいち不明。全員でミッションを成功させる設定ではありますが、思考・判断面で協力のしどころはほとんどなくて、基本的に運まかせ。成功率もかなり低くて、こうしたゲームデザインの作品はかなり珍しい気がします。
その特徴を裏返すと、年齢や思考の幅の差を問わず、誰もがイーブンに参加できると言えるかもしれません。成功させるのが難しいのも、運メインなので何度もやればいつかはクリアできるという言い方もできます。
成功を目指してサイコロ目の幸運を祈りながら、根気強くみんなで取り組むという経験になりそうな意外と珍しいゲーム。ボードやコマのデザインや手ざわりを味わいながら、シビアな設定に負けずに楽しみたいゲームです。
(おわり)