「ガムトーク」─オチなし話OK、肯定が約束されたトーク用カード─

「ガムトーク」は、めくったカードの中から、指定されたお題について話をするゲーム……というよりも、トーク用アイテム。話のオチはなくてオッケー、聞いた人は必ず「良い話や」と言うことになっているので、安心して話せます。

ガムと同じサイズ感の箱の中身は60枚のカード。裏には1~6の番号が振られていて、表にはそれらの数字に対応する話のお題が書かれています。カードはほどよい厚みがあり、ツルツルしていて手にとった感触も気持ちいいです。

この作品、2人以上なら何人でも遊べて、セット例はこんな感じ。全てのカードを裏向きに積み重ねておきます。電車の中など、置く場所がない場合は箱の中からカードを少しひっぱり出すようにしても大丈夫。このカードを使って、順番に話をしていくというのがゲームの流れです。

話す役になったら、カードを1枚めくって表にします。そして、山札一番上の数字と対応するお題を確認します。上の写真の場合は「1」の「アイスクリームの話」となるわけです。では、話す役になったつもりでやってみますね。

アイスクリーム……好きなアイスに「パリパリバー」ってのがあって。箱に何本も入ってるタイプのやつで、8本入り。バニラにパリパリしたチョコのしましまが入ってて。うちのそばのスーパーだと200円くらいなんですけど、その値段の割にはほんとおいしくて。ラクトアイスじゃなくてアイスミルクなので、あの、脂肪分がちょっと高いやつ。ハーゲン1個分の値段ですごい満足できるんですよね。(※ちなみにパリバリバーはこれです)

こんな感じ。オチはなくてオッケー。私が遊ぶときは「おしまい」と言うようにしています。そして、聞いた人は……

「良い話や」と言ってあげるのがルール。このルールがあることで、どんな話をしても肯定してもらえます。心置きなくどうでもいい話ができます。

話してみて思ったのは、このゲームがなかったら生涯口に出さなかったであろう話も、話してみると意外とスッキリするということ。また、特に面白い話でなくても引け目を感じなくていいので安心感があります。

聞き役になって感じたのは、取るに足らない話でも一緒に遊んでる人の気持ちやエピソードを聞くというのは、思っていたより興味深いということ。忙しい日常生活や仕事でどうでもいい話を聞かされるのもしんどいときもありますが、「どうでもいい話でもオッケー」という前提を共有して話しているからかもしれません。

そしてこれは自分でも意外だった点ですが、「良い話や」と言うこともあってか、「聞いた話のよかったところ」を自然と考えはじめていました。

実例で言うと、一緒に遊んでいた人が「旅行に行って、みんながちょっと怖そうな雰囲気の店に入ったんだけど、自分はなんとなくイヤで入らないで待ってたんだよね…」と話した場面がありました。残念なエピソードだとも思いますが、「無理してみんなに合わせないで、自分の気持ちを大事にしたんだね。良い話や…」と解釈した感じです。

実際に遊んでみたとき、始めはみんな無理して面白い話をしようとしてしまっていましたが、だんだん力が抜けてフワッとした話が続くようになっていきました。盛り上がるわけでもなく、つまらないわけでもなく、やめどきがわからない雰囲気に包まれてもうちょっと続けたくなる感じです。

本物のガムサイズなので持ち運びも簡単。順番も得点も、ゲーム終了の条件もルールにはありません。それでも、話題が設定されるというだけで、話が続いていくという不思議な楽しさのあるゲームです。

(おわり)