「天下鳴動」─戦況を読んで自分の兵を日本各地へと送り込め─
「天下鳴動」は、日本各地の国に自分の兵を送り込み、最大勢力を目指すゲーム。戦略的に考えながらサイコロ運を味方につけ、先の展開を読んで判断するのが面白いです。「援軍」のルールでダイナミックに戦況が変わるのが考えどころです。
ゲームは2~4人で遊べて、3人プレイ時のセット例はこんな感じ。各プレイヤーに配られるのは、自分の色を示す兜と、それと同色の木製キューブ「兵コマ」です。
ボードは国が区切られた日本地図になっています。各国には裏向きでシャッフルした「城チップ(大)」を置き、表向きにします。「城チップ(大)」には2~12の数が振られています。
(※私が遊ぶときはいつも「城チップ(大)」の隣に、その数字を半分(0.5は切り捨て)にした値と対応する「城チップ(小)」を置いています。説明書ではボード脇に置いておくことになっていますが、こうして隣に置くのもわかりやすくていいかもしれません。)
ゲームは前半の「進軍フェイズ」と後半の「合戦フェイズ」に分かれます。後半は前半の結果をじっくり答え合わせするフェイズなので、考えどころは前半にあります。
前半の自分の番ですることは、2つ選択肢のうちの1つ。「兵コマの配置」か「軍略カードの使用」です。ほとんどの場合で「兵コマの配置」を選択することになるので、まずはこちらを紹介しましょう。
「兵コマの配置」をする場合、3つのサイコロをいっぺんに振ります。上の例では、1・3・6。こうして出た目のうち、どれか2つを足し算します。
例えば「3+6」で9とすることにしましょう。残りの目は1。足した目は兵を送る先の城、残りの目は送る兵の数を意味します。
この場合、「9の城に兵を1コマ送るよ」という選択になるわけです。送る兵の数と対応する目はボード右下に書かれているので、いつでも参照できます。(例:4の場合は兵コマ2つ)
サイコロの目の組み合わせは選べるので、この場合は3つの選択肢があるわけです。ここでは例として…
4の城に兵を3コマ送ることにしました。コマを置いたら次のプレイヤーに交代です。サイコロの目に納得できない場合は、自分の番ごとに1回だけ振り直してもよいことになっているので、その点も考えどころです。
基本的に、全員の全ての兵コマがボードに置かれるまで配置をおこないます。後半の「合戦フェイズ」では、城ごとに最大兵数を送り込んだプレイヤーが「城チップ(大)」を手に入れてその数字が得点、2位は「城チップ(小)」の得点と判定していきます。最大数である12の城を手に入れたら12点というわけですが、考えどころにつながるルールはまたのちほど紹介しますね。
兵を配置するペースはプレイヤーによって異なります。全ての兵を送ったプレイヤーは、ボード脇にある「刀チップ」のうち、本数が最多のものを取っておきます。
こうして全員が兵を送り込んで「刀チップ」を取ったら、後半の「合戦フェイズ」に入ります。合戦は最小数字である「2」の城の国から始まるので、まずはそこに注目しましょう。
送った兵コマは赤プレイヤーが最多の3コマ。ですので、2点の「城チップ(大)」をゲット。2位は黄色の2コマですので、1点の「城チップ(小)」をゲットということなります。3位(以下)は得点になりません。
さて、ここからがこのゲームの面白いところ。「援軍」のルールです。
合戦を処理した国と「接する国」に注目します。「接する」というのは、「陸地の国境」で接している、または「海の水路」でつながっている、という点で判断します。
先ほど合戦を処理した2の城がある「京」の右上の城には、1位を取った赤のコマが置いてあります。1つでも置いてある場合、ボード脇にある白いコマを2つ、赤の援軍として送り込みます。色こそ白ですが、あとで合戦を処理するときには赤コマと解釈して判定するわけです。また、2位以下は援軍を送れません。
「京」の右下の城には赤コマは1つもありません。この場合は援軍はなし、となります。でも、左側で接している四国や中国地方には赤コマがあるので、援軍を2コマずつ送れることになります。
これで最初の「2」の城の合戦の処理はおしまい。続いては「3」の城の合戦です。
ここはもともとは「黄2vs赤1」でしたが、援軍が来て逆転したため赤の勝ち。大チップを獲得しつつ、ここから隣接する国に自分の兵コマがあればまた援軍を送ります。(すでに処理が終わった国に援軍は送りません)
こうして援軍の流れで勢力が変わっていくのがこのゲームのおもしろどころ。このルールを見越して、前半では兵を送り込んでいくのがポイントになってきます。
続いての「4」の城は、青と赤の兵コマが同数。この場合、持っている「刀チップ」に描かれた刀の本数で判定。上の場合は青の勝ち、となるわけです。
というわけで、先に兵を全て送り込めば同数判定のときに有利。ただ、兵送りが遅れるということは、他プレイヤーの兵コマ確定を踏まえて判断できるようになります。どっちがいいのか、はっきりわからないのも面白いところです。
こうして順番に全ての国の合戦を処理して、手に入れた城チップの得点で競う、というわけです。
これが一連の流れですが、自分で番でできることには「兵コマ配置」の他にもう1つありました。
それは「軍略カードの使用」。箱に12枚入っているうち、ランダムに「プレイ人数+1」枚を並べておきます(残りは使用しません)。さまざまな効果がある軍略カード、兵コマを配置する代わりにこちらを使う選択もできます。プレイごとに出てくるものが変わるので、開始時に全員で読んでおくとよさそうです。
ただし、使えるのは1人1枚だけ。また、誰か1人が自分の兵コマを全て送り込んだら、そこから先はもう誰も使えなくなります。タイムリミットがあるイメージですね。戦況に応じて、使うタイミングにも考えさせられるものがあります。
(※いつもこのゲームの遊び方を説明するときは、ここで書いた順番のように、一連の流れを伝え終わったあとに軍略カードの説明するようにしています。その方が使いどころのイメージつきやすく、また、プレイ時に軍略カードの存在を忘れないようになる印象があります。)
ルールの流れを見越しながら、サイコロ運にうまく戦略を絡めて判断するのが悩ましいのがおもしろどころ。プレイごとに城の位置や登場する軍略カードが変わるので、戦略にも変化が出てきます。こうしておくてこうなって…と、できる限り考えつつ、変わっていく戦況を踏まえて柔軟に対応するのが楽しいゲームです。
(おわり)