「ごきぶりキッチン」─ルールの隙で、もめよう─
「ごきぶりキッチン」は可動式の迷路の壁を動かして、リアルに移動するゴッキーを自分のところに導くゲームです。導きたくないと思っても導くゲームです。ゴッキーの動きはリアルですが、ビジュアルはそうでもないので安心してください。
中身はこんな感じ。箱全体が迷路になっていて、よく見るとわかりますが迷路の壁はナイフ・フォーク・スプーンの形をしています。
ゴッキーはアップで写しても心配のないビジュアル。中には小さな電池が入っていて、おなかのスイッチを入れるとウィーンと細かく振動します。
自分の順番ではまずさいころを振り、出た絵と同じカトラリーを回転させます。
こうしてうまく迷路を変化させ、自分の担当する穴にゴッキーがやってきて落ちたら得点。その動きがトリッキーで、やたらと本格的。
カカカカ…と音を立ててゴッキーが歩き回る中、みんなでワーワー言いながら迷路をガチャガチャ回すのは、まず問答無用で楽しい。
私も含めて多くのプレイヤーがメカ虫周囲のカトラリーを動かしがちなのに対して、上手な子は視野をもっと広げて動かしてくる。自分が有利になるよう、冷静に考えているのだ。一発ギャグみたいなゲームだけど、ちょっとは戦略性もある。
とは言え、このままじゃ他のプレイヤーのゴールに入っちゃう!というときは素早く判断して対応することも必要。まあこっちの要素の方がずっと多いです。
このゲーム、自分の番に「さいころを振って、カトラリーを回す」という行動があるわけですが、それをどのくらいの時間でこなすのか、というところがルール的にはっきり決まってない。やってみるとわかるが、迷路の状態が自分にとって有利だと、じっと見守ってゴッキーが来るのを待ちたくなる。
写真のように落ちてくれば得点になるわけだが、ゆっくりやってると他のプレイヤーから「ずるい!」と声が挙がる。
じゃあどうするか。「わかった、次からもっと早くする」となるか、「ごめんごめん、今のなしにしよう」か。「じゃあ今度から5秒以内ね」と、具体的に決める場合もあるかもしれない。
どれに転んでもいいのだろう。ルールではっきりしていないことを、みんなで相談して決めるということが重要なのだと思う。
得点札となる写真のゴッキーチップをもらうのが本当にうれしいことなのかどうかはともかく、基本的にわいわいとにぎやかで、真剣に勝負するならほどよくもめるポイントがあるのも隙があって楽しいゲームです。
(おわり)