「冒険メモリー」─記憶力と戦略思考を組み合わせて、自分の木を育てよう─

「冒険メモリー」は、絵合わせで手に入れたタイルをボードに並べて、自分の木を大きく育てるゲーム。普通の絵合わせに陣取りや戦略思考が加わって、単なる記憶ゲームではない面白さがあります。

箱の中身のメインは、大きなボードと60枚のタイル。ゲームの舞台は伝説の国、メルクリア。そこには4つの地形それぞれに、生き物や植物などで繁栄していました。しかしある日、嵐が来てメルクリアはめちゃくちゃになってしまいました……というのがこのゲームの物語。

同じ絵柄が2枚ずつあるタイルの背景は4色で、地形の色と対応しています。上の写真では見本としてタイルの背景色とボードのマスの色をマッチさせて並べていますが、ゲームを始めるにはタイルを裏返してよく混ぜ、マスに並べましょう。

さて、ゲームは2~4人で遊べて、4人プレイ時のセット例はこんな感じ。ボードの左下に4つ並ぶのは、各プレイヤーに配られた「自分の木」。この幹を伸ばして、大きく育てるのがゲームの目的です。

自分の番にできることは2種類の行動のうちのいずれか。「行動A」は、タイルを2枚めくること。違っていたら裏向きに戻して、次のプレイヤーの番に移ります。普通の絵合わせと一緒ですね。

同じタイルをめくれたら、自分のものとしてゲット。続けて次の2枚をめくり、また同じだったら手に入れて…と繰り返すこともできますが、途中で切り替えて「行動B」を選ぶこともできます。

「行動B」は、1~4枚の手持ちタイルをボードの空いたマスに置くこと。タイルはその背景と同じ色のマスにしか置けません。嵐で荒れた国を元に戻すというわけです。また、複数のタイルを同時に置くときには、置くタイルの辺同士が接するように置かなくてはいけません。

タイルを置けたら、置いた枚数に応じた「幹」をもらえます。ここでは3枚タイルを置いたので、「3の幹」をもらいます。

もらった幹は「自分の木」の根と枝に挟んで並べます。荒れた国を元に戻すと土地からパワーをもらって木が育つ、というイメージです。ここまでおこなったら、次のプレイヤーに番が移ります。

こうして交代にめくったり並べたりを続けていき、裏返しのタイルがなくなったら各プレイヤーが順番に1回ずつ手持ちタイルをボードに置き、ゲーム終了。育った木の高さで順位を競います。

ベースは絵合わせなので、よく見て覚えるということがまずはポイント。自分の番だけでなく、他の人の番でもよく見ておくと有利になるので、観察や集中を持続するのも大切です。

また、めくったタイルが違っていたら、自分だけサッと確認して裏向きに戻しちゃう…というのは絵合わせではよくあります。「ちゃんと他のプレイヤーも確認したか」という点を意識して戻すのがフェアプレイです。

このゲームの考えどころの1つは、同時に置いたタイルに応じてもらえる「幹」の長さにあります。1~4枚置いたときにもらえるそれぞれの「幹」ですが、「1の幹」を4倍しても「4の幹」よりちょっと短い。「1の幹+2の幹」より「3の幹」の方が長い。

これはゲーム前に確認して、考えるきっかけにするとよさそう。ちまちまとタイルを置くよりも、一気にたくさん置いて幹を効率よく伸ばすことを意識するのもポイント。幹タイルを取るのは早い者勝ちで、長さによって枚数に違いがあるのも戦略につながります。

「ほしいタイルの色」と「開けたい地形のマス」との兼ね合いがあるので、絵合わせ部分に記憶以上の考えどころがある。タイルの置き方には他のプレイヤーの動向との絡みがあって、陣取りのような要素も。タイルを溜め込んでも終盤は絵合わせが加速して置けずに終わる危険もあるので、ほどほどの選択が大事だったりすることも。

…と、やってみるとわかりますが、いわゆる「ドイツゲームらしさ」が味わえます。ベースこそ絵合わせですが、戦略や駆け引きがしっかり盛り込まれているのが面白い。ボードやタイルの美しい雰囲気を味わいながら、記憶も思考も働かせるのが楽しいゲームです。

(おわり)