「ニックネーム」─いろんな敬称で相手の名前を呼ぶカード集め─

「ニックネーム」は、持っているカードを質問しあって集めるゲーム。質問で呼びかけるときに「○○ちゃん」「△△社長」など、指定された敬称をつけるルールになっていて、ふざけっこ感も楽しいです。

箱の中身は全てカードで、カードは2種類に分けられます。そのうち上の写真は「ニックネームカード」。13枚あって、それぞれにキャラクターが描かれています。また、それぞれに「くん」「さま」などの敬称も書かれていますが、これがどうゲームと関係してくるかはのちほど説明しますね。

もう1種類のカードは「もちものカード」で、同じ色の「ニックネームカード」と結びついています。「博士」のカードは「白衣・フラスコ・顕微鏡・博士帽」、「ちゃん」のカードは「りんご・バナナ・メロン・ぶどう」といった具合です。ゲームの目的は、同色の「もちものカード」を4枚揃え、その4枚組をできるだけたくさん集めることです。

ゲームの準備として、13枚の「ニックネームカード」から適当に8枚を選び取り、それと対応する「もちものカード」を用意します。そのほかのカードはその回のゲームでは使いません。

さて、ゲームは3~6人で遊べて、4人プレイ時のセット例はこんな感じ。「もちものカード」はシャッフルして各プレイヤーに配り切り、手札にします。真ん中に並べた「ニックネームカード」は目印的な意味合いで置いてある感じになります。

例としてこんな手札だったとしましょう。ゲームの目的は、同色の「もちものカード」の4枚セットを手に入れること。ここではまず、右端のピンクのカードを集めるのに挑戦することにします。

自分の番にすることは、他のプレイヤーに欲しいカードを持っているか質問すること。質問できるのは、少なくとも1枚は持っている色のカードのみ。ピンクのカードを持ってなければピンクのカードについて質問できないのですが、この場合はオッケー。

また、呼びかける時にはその色のカードに書かれた敬称を相手の名につけて呼ぶルールになっています。この場合は「ちゃん」付け。親しさや年齢といった関係性は置いておいて、その敬称を付けて呼ぶのがこのゲームのルール。ちょっと恥ずかしかったりドキドキしたりするでしょうが、それもおもしろどころです。

聞かれた相手は正直に答えましょう。持っていたならそのカードを渡してもらい、手に入れることができます。こうして質問が成功した場合は自分の番が続きます。

あと1枚でピンクが揃います。同じ相手に質問することもできますが、今度は相手を変えてみましょう。…しかし、今度は持っていませんでした。これで次のプレイヤーの番に交代です。

このとき、メロンを持っているプレイヤーはニヤリとしているかもしれません。「あの人は今ぶどうを持っていて、そのほかにも少なくとも1枚はピンクを持ってるな」ということがわかるからです。うまくカードを集めるには他の人のやりとりをよく聞いて覚えておくことがポイントです。

もし質問に成功して4枚組が揃ったら、自分の前に出して1点となります。この流れを繰り返し、全てのカードが出されたらゲーム終了。揃えた組数で競います。

勝つためにはよく見てよく覚えておくことが大切。「あれはあそこにあって、あれはあっちだから…」と、集中力が必要で、結構真剣にさせられます。

なのに、敬称をつけるルールのおかしさが割って入ってくるのがおもしろどころ。明らかなおっさんに対して「高橋にゃん」と呼びかけたり、普段はしない呼び捨てにドキドキしたりと、気持ちが揺さぶられます。私が遊んだときは、記憶の集中とふざけっこ的な楽しさが入り交ざり、緩急の差に盛り上がりました。

このゲームは「カルテット」がベースになっているもの。カードのデザインが「カルテットをするとき、カードがこうなってると間違えなくて遊びやすいんだよな」という勘所を抑えてあるのも嬉しい。ちょっと難しい言葉や漢字も出てきますが、イラストとふりがながあるので、子供でも誰かに確認することなく遊べる親切設計です。

記憶と推測は真剣に、呼びかけのやりとりはちょっとふざけて、どっちの要素も楽しいゲームです。

(おわり)