「ひゃっぴきいっしゅ」─決まり字の面白さを手軽に味わえるカルタ─
「ひゃっぴきいっしゅ」は、動物の絵柄を認識して取るアレンジが楽しいカルタ。「百人一首」における「決まり字」の面白さを手軽に味わえるように工夫されているのが特徴で、戦略的に札を狙っていける楽しさがあります。
箱の中身は全てカルタ札で、上の写真は取り札。普通は右上に丸囲いのひらがながあるところ、この取り札に文字はありません。文字ではなく、絵を見て探すカルタというわけです。
続いてこちらは読み札。「あかいクマ」といった具合に、「色+動物」というのが基本です。文字で書いてあるほか、左下には取り札と同じ絵が描かれています。
説明書には2種類のルールが載っているうち、ここでは「かんたんルール」を紹介しましょう。ゲームは3~8人で遊べて、どの人数でプレイするときもセット例はこんな感じ。取り札は全て広げて並べます。読み札は積んでおき、裏向きのまま2枚取り除きます。この2枚はゲームでは使いません。
役割分担として、プレイヤーの中から読み手を1人決めましょう。他の人は取り手です。普通のカルタと同じように、取り手同士で取った札の枚数を競います。
ゲームが始まったら、まず取り手はテーブルのはしに両手を付けて待ちましょう。(床で遊ぶ場合はひざ横の床に付けます)
空気が落ち着いたら、読み手が札を読みます。まず「ひゃっぴきいっしゅ」と言ってから、読み札の言葉を読みましょう。
それを聞いた読み手は、読まれた札を素早く取ります。一番早く札にタッチした人が得点としてその札をゲット。お手つきすると次の札のときに1回休みとなるので要注意です。「聞く→見る→手を動かす」という一連の流れを素早く正確におこなうことが大事です。
…と、まあ、ここまでなら普通のカルタなのですが、このカルタの場合、小倉百人一首を用いておこなう「競技かるた」のような「決まり字」の面白さがあります。
例えば上の写真のような場合。札が減ってきていて、黄色は1枚。ということは、読み手が「き」と読んだ時点で取るべき札がわかるというわけです。札の状況を踏まえれば、取るという行動に先手を打てるというわけです。
私が子どもと遊んだ際には、こうした「決まり字」のしかけについて特に説明しなかったのですが、自ら気づいて「今、黄色狙ってた!」と言う子もいました。うまくいくための戦略に自分で気づけるのは、ゲームの醍醐味の1つだと思います。
決まり字のしかけは他にも施されていて、例えば紫の札はくじら1枚だけ。ゲーム開始当初から「む」は決まり字であるわけです。よく観察すれば、そのことに気付けるかもしれません。
動物は1枚ずつ全て違う……と思いきや、カメレオンは3枚。カメレオンだけは「カメレオンが+色」という読み札の順番になっているので要注意。例外的な変化に対応することもポイントになってきます。体色が変わるという生態にならっているのも面白いです。
ゲームが進み、取り札が3枚になったら最終バトル。読み札は2枚抜かれているので、この時点で最後の1枚。この読み札に対応する取り札を取ったプレイヤーは、残りの2枚ももらえます。最後にドラマが生まれる可能性もあるわけです。ちなみに上の場合、「しろいうさぎ」と「しろとくろのしまうま」があるので、3文字目の「と」で取るべき札が決まる場面です。
読み札には文字がありつつ、絵もあるので文字が読めない小さな子も読み手になれるのも特徴。小さな子が読み手をやりたがるのは、どうやら「カルタあるある」っぽい。この工夫もあってか、就学前の子がいきいきと読み手をする場面を目にしたこともあります。
また、2人の取り手同士で勝負する「ふたりでしんけんルール」は、大人もスピードバトルに集中するやりごたえがあります。シンプルなカルタでありつつ、いろいろな工夫が散りばめられているのが楽しいカルタです。
【追記】販売元から「よみあげwebアプリ」が提供されました。自動で読み札を読み上げてくれるので、2人で遊ぶ際など、読み手がいなくても楽しめます。
(おわり)